こんにちは。三島友紀FP事務所の三島友紀です。

前回協議離婚をする際の取り決めに関しては、公正証書を使うべきだというお話をさせていただきました。ただ、このブログを読まれている皆様は公証役場に行かれたことはありますか?

ないですよね?

公証役場の場所もわからない方が圧倒的多数だと思います。法的に非常に強力な効果を持たせる公正証書ですから、その作成にあたってはいくつかルールが決められています。今回は少しその流れをたどってみたいと思います。今すぐ離婚を考えている。という人以外でも何かの参考になればうれしく思います。

1、夫婦で離婚協議書を作成してみる

まず、ここがスタートです。この段階では公証役場や公証人は登場しません。ここでは夫婦二人で離婚をするという意思。そして離婚に伴う色々な決め事を話し合っていき、書面にまとめていきます。実はここが一番大変な作業です。別れようとしている夫婦の意見をすり合わせていくわけですから、なかなか話はまとまりません。決めるべきことも多く、時間もかかると思います。

しかしここを経ないと公正証書は作れません。公証人の方はあくまで夫婦の意見に法的な効果を与えるにすぎず。どのような内容の公正証書にするべきかの内容を決めるのは夫婦二人だからです。

以下の内容が離婚協議書を作成するときに決めるべき主要な内容です。ここではひとつひとつ解説するのは割愛させていただきますが、「養育費を払うかわりに、月1回以上の面会交流は認めてほしい」などそれぞれの内容が相互に関わりあっているので、より決めるのに労力を要します。(簡単に決まるようならそもそも離婚という結論に至ってないかもしれませんね)

  1. 離婚することへの合意
  2. 親権
  3. 面会交流権
  4. 養育費
  5. 婚姻費用
  6. 慰謝料
  7. 財産分与
  8. 年金分割
  9. 清算条項
  10. 強制執行受託文言

2、公正証書を作ることへの同意

これも夫婦間で先に意思を固めておく必要があります。公正証書は基本的に夫婦二人で作成しなければいけない為、どちらか一方が作成を拒否している場合は作成ができません。どちらかというと夫側が養育費を払うケースが多いでしょうから、この時に夫側が公正証書を作ることに対し難色を示すことは少なくないそうです。「公正証書を作成すると養育費が未払いの場合に差押えがくるよ」という話を聞けば少し不安になり難色を示すことも、まぁわからなくはありません。

この辺の交渉の話は別のところでお話できたらと思います。

3、公証役場に行く

公正証書の原案となる、離婚協議書が作れて、お互いが離婚協議書を公正証書にすることに同意したら、公証役場に行くことになります。公証役場には公証人という公務員がいます。公証人とは判事や検事などを長く務めた法律事務の経験豊かな者で、公募に応じた者の中から、法務大臣が任命することになっています(公証人法第13条)全国に約500人の公証人がいます(2018年現在)

公証役場は全国に約300か所存在しており、東京のような大都市には何十か所もあったりしますが、秋田や島根などの地方には県内の公証役場が2か所しかないような所もあります。ただ、基本的に公正証書を作成するだけならどこの公証役場で手続きをしても大丈夫ですので、行きやすいお近くの公証役場に出向きましょう。場所によっては公証人が1人しかいない公証役場もいるので、あらかじめ電話しておくのが安心です。

全国の詳しい公証役場の一覧はこちら(日本公証人連合会)

1度公証役場に訪問し、夫婦二人で定めた公正証書の原案を公証人にチェックしてもらい、訂正や修正などがあればそれに対応をします。場合によっては何回か足を運ぶ必要がありますが、原案に問題がなければその日は一度帰宅し、後日改めて公証役場に訪問します。2度目の訪問までに公証人は公正証書を作成しておくことになります。
なお離婚に関する公正証書の事は正式には離婚給付契約公正証書と呼びます。

費用はどのくらいかかるのか?

公正証書の作成には手数料を収める必要があります。手数料の額については法律にて定められており、全国一律です。日本公証人連合会のHPによると手数料の額についてつぎのように記載されています。

協議離婚の届出に際して約定した慰謝料・財産分与の取り決め又は未成年の子の養育料の支払を公正証書にする場合は、慰謝料・財産分与と養育料とを別個の法律行為として扱い、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。ただし、養育料の支払は、賃料と同じく定期給付に当たるため、支払期間が長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的価額になります。

簡単にいうと慰謝料・財産分与に関わる財産の価格をもとに手数料を計算し(下記表を参考)、また養育費の支払い総額(最長で10年分)をもとに手数料を計算します。そしてそれらの金額を合計した額がトータルでの手数料となります。
(慰謝料と財産分与が1,000万円。養育費が毎月10万円を10年間支払うという場合ですと慰謝料と財産分与の手数料が23,000円。養育費の手数料が23,000円。合計46,000円となります)

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

必要書類はどんなものがあるか

  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、印鑑証明書など)
  • 印鑑(認印 ※ただし印鑑証明書を本人確認書類として使う場合は実印)
  • 戸籍謄本
  • 不動産登記簿謄本または固定資産税評価証明書(不動産を所有している場合)
  • 年金手帳
  • その他車を持っていれば車検証や時価がわかる査定書。生命保険に加入していれば保険証券などもあるとなおよい

財産分与をする場合、その財産の価格がわからないと正しい分割ができません。公証人がその価格を確認するために、財産分与の対象になる資産についてはその評価がわかるものを持って行った方が効率的です。

なお代理人を選任する場合には上記の書類にプラスして委任状と代理人の本人確認書類が追加となります。

作成にあたっての注意点

以上のような流れで公正証書は作成が可能です。注意するべき点としては公正証書を作りたいと妻の方から言い出した場合、夫側は乗り気ではない場合が多いという事です。先にもお伝えしたとおり差押えが容易にできるようになる公正証書は協力な権利の為、最初から払わないつもりなどない人であっても二の足を踏んでしまいます。

そのためにも公正証書を作る前に離婚協議書を作る。という段階からスタートすることが大事だと思います。

また補足情報としまして、公正証書を作成したとしても。養育費を支払う側にリストラ、病気、怪我、障害など特別な事情がある場合には養育費の支払額などの減額が認められています。もし「将来に向けてずっと払い続ける自身がない…」という理由であるならば、そういったことを伝えてあげるのもいいでしょう。

専門家の力は借りた方がよいのか

公正証書は自分でも作成することができますが、世の中には離婚協議書を公正証書にすることを生業とできる士業がいます。弁護士、司法書士、行政書士です。そのそれぞれの違いの説明は別の機会にゆずるとして、ここでは専門家に頼んだほうがいいかだけを見てみたいと思います。

結論からいえば、できるなら専門家の力は借りて公正証書は作成したほうがよいと思います。

公正証書は法律上の効果を発生させる公文書なので、法的な難しい言い回しでかかれます。そのため法律の勉強をしたことがない人にとってはその書き方が非常にとっつきにくいです。またそのような状況で作成すると、『決め忘れ』『記載事項の間違い』などが起きる可能性も大きいです。将来その間違いが原因となって紛争となる可能性も否定はできません。

で、あれば。最初から専門家の力を借りて、どうしたらトラブルなく書類を作ることができるのか。どうしたらバランスのとれたもめない財産分与ができるのか。養育費の適正な金額の決め方は。などきちんとしたノウハウを持った専門家のアドバイスを受けながら作成した方が、結果離婚後の安心を手に入れることができると思います。

公正証書を作るというのは作るだけならそこまで難しくはありませんが、トラブルにならない「キレイな」公正証書を作るのはなかなか大変です。公正証書の作成の際にはご注意ください。