こんばんわ。三島友紀FP事務所の三島です。離婚と財産分与。第三回の今回は財産分与に伴う税金について解説したいと思います。

結論から言います。

通常財産を譲り受けた場合には贈与税がかかりますが、財産分与は社会通念上妥当ともいえる額を超えている場合や、そもそも税金対策の為に離婚を行ったなどの例外的事情がない限り、贈与税の対象にはなりません。

また、不動産が分割の対象である場合は譲渡所得税や登録免許税が発生する場合があります。

※具体的にご自身の家庭においてどのくらいの税金が発生するかといった質問に関しては税理士さんや都道府県の税事務所に問い合わせるようにしましょう。

それでは具体的にみていきたいと思います。

離婚して金銭財産をもらった場合

最初にお伝えしたように、日本では他人から財産をもらいうけた場合は贈与税という税金が発生します。贈与税は基礎控除110万円を差し引いた残りの金額にかかりもっとも低い税率で10%。最大で55%が税金としてとられます。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円以上 55% 400万円

※【一般贈与財産用】(一般税率)

しかし離婚における財産分与の趣旨は、相手方から贈与をうけたものではなく、夫婦の財産関係の清算や、離婚後の生活保障の為の財産分与請求権に基づいて給付を受けたものと考える為に贈与税の課税はありません。
民法768条でも、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与の請求をすることができる。と規定されています。

ただし、どんな場合でも贈与税がかからないというわけではありません。法の趣旨を逸脱して不正を働こうとする場合などは贈与税が発生する場合があります。

例えば分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合です。この場合はその多すぎる額に対して贈与税がかかります。

また、離婚そのものが贈与税や相続税を逃れる為の手段として使われたような場合(偽装離婚)もあります。この場合は贈与があったとみなして全額に対して贈与税がかかってきます。

離婚して不動産をもらった場合

不動産を財産分与によって取得した場合も原則は金銭の取得と変わらず、不正の手段によって取得したのでないかぎり、贈与税はかかりません。ただし不正の手段により贈与税がかかってきてしまう場合は金銭での贈与と違い贈与税と同時に不動産取得税も発生します。

またそれ以外に不動産の名義変更をして譲り受ける場合は、登録免許税

譲り受けた後は毎年固定資産税が発生します。

【注意点】

離婚の時に不動産を名義変更する際にはローンが残っているとローンの組み換えや引き継ぎが必要になります。
妻が働いていなかったりなど十分に収入がない場合ローンを組むことが出来ない為に、離婚後も夫がローンを支払い続け妻が自宅に住む。という場合もあるかと思います。その際に妻がローン相当額を夫に支払っていなかった場合、実質「夫から妻へ不動産の贈与が行われた」とみなされ贈与税の対象となる場合があります

離婚して金銭を支払った場合

これは原則通り、贈与税はかかりません。

離婚時の金銭の受け渡しは不自然な割合でなければ夫婦の財産関係の清算とみることができるからです。

離婚して不動産をゆずった場合

不動産をゆずった場合は譲渡所得税がかかる場合があります。
また、不動産以外にも株式やゴルフ会員権などにも譲渡所得税は発生します。

譲渡所得税とは譲渡益に対して課税される税金です。不動産であれば不動産を購入した時の金額(相続や贈与によって取得した場合はその前の持ち主が取得した金額。または売却したときの5%を取得金額とする)と売却した時の金額を比べて、売却した金額の方が高かった場合にその差額に課税される事になります。

離婚時の財産分与の場合は不動産をゆずった場合に、その対価として金銭をもらうことはないと思いますが、譲渡した不動産の時価取得価格を比較して現時点の時価の方が高かった場合には課税対象となります。

この譲渡所得税は不動産を所得してからどのくらいの年数保有していたかによって税率が変わります。

譲渡所得税の計算

譲渡があった年の1月1日までさかのぼり、その1月1日時点で所有期間が5年を超えているか、5年以下かによって計算します。
5年を超えているケースを長期譲渡取得。5年以下のケースを短期譲渡取得と呼び


長期譲渡取得の場合は ≪譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除≫ ×15%(住民税5%)
短期譲渡所得の場合は ≪譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除≫ ×30%(住民税9%)
※令和19年までは復興特別所得税2.1%がさらにかかります。
※特別控除に関しては下記で解説

上の特別控除についてですが、居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例という制度が使えます。

これは譲渡所得が発生する場合にその所得から3,000万円を差し引きすることができ、それでもなお残りが発生する場合のみ所得税を支払えばよいという制度です。ですので一般的な家庭であれば譲渡所得税が発生することは非常にまれと言えます。
※なお、この特例を使う場合には夫婦間での譲渡では使う事ができないので、一度離婚して他人となった後に不動産を譲渡する必要があります

さらに居住用不動産であれば、3,000万円の特別控除を使ってもまだ譲渡所得が税が発生するような場合であったとしても、居住用不動産の所有期間が10年以上であれば、通常の長期譲渡取得の税率よりもさらに低い軽減税率(所得税10%、住民税4%)で計算されます(6,000万円まで)

婚姻期間が20年以上の夫婦の場合

婚姻期間が20年を超えており、不動産を配偶者に分与する必要があるのであれば、贈与税の配偶者控除という方法も使えます。
これは居住用不動産を婚姻期間が20年を超えた夫婦間で贈与をする場合に贈与税の基礎控除とは別に2,000万円を控除することができる特例です。

これを使えば時価で2,110万円までの不動産の贈与には贈与税がかからなくなりますので、婚姻中に贈与を行って、その後に離婚し財産分与をすることで税金を大きく減らすことができます。

まとめ

財産分与の税金をまとめますと、

金銭など 不動産
あげる方 かからない 譲渡所得税がかかる場合もある
もらう方 原則かからない(不正の手段があった場合かかる場合も) 名義変更する場合は登録免許税と固定資産税がかかる
(不正の手段があった場合贈与税と不動産所得税がかかる場合も)

となります。

基本的にはほとんど税金は発生しませんが、不正な手段があったり、不動産が値上がりしている土地などでは税金が発生する場合があります。
ただし様々な税金を少なくする特例もありますので、ご不安な方は一度税理士や税務署に聞いてみるのもよいでしょう。