財産分与四回目です。今回は財産分与をする際に必要となる書類や手続きについてご案内いたします。

これまで見てきたように、財産分与は夫婦双方が合意をしていればどんな割合で分割しても大丈夫でした。その割合に争いがある場合は調停や審判に進みますが、その際の基本的な割合は1/2ずつで、それは夫婦どちらかの名義の不動産や、夫しか働いておらず稼いできた預貯金などであっても変わりませんでした。では合意ができていればどのような手続きを踏めばよいのでしょうか?

なにか書面に残しておいた方がいいのか

支払いのタイミングは離婚する前か、それとも後か

なにかトラブルが起きそうな時はどうしたらよいのか

それぞれ見ていきましょう。

財産分与について書面に残すべきか

財産分与につき、夫婦間で話し合って決めたことは、離婚協議書などの文書として残しておきましょう。口頭での場合、後から気が変わったり、忘れてしまったりするケースがありますので、必ず残すようにします。
ただし、以前の記事でもご案内したように、個人間の合意書、協議書だけでは法的な強制力はないので、合意した内容を「強制執行認諾約款付き公正証書」にしておくことが望ましいです。

なお、夫婦間で協議がまとまらない場合や、公正証書を作成することに一方が反対している場合などは、離婚調停や裁判の中で一緒に財産分与についても裁判等をしてもらえます。
もし、離婚をした後に財産分与を改めてきちんとした文書にしたいという事であれば、家庭裁判所に「財産分与請求」の調停を申し立てることができます。

財産分与を行うタイミングはいつか

財産分与は当事者の合意があればどういう内容を決めても大丈夫です。そのため支払うタイミングや期間も自由に決めることができます

決めるべき内容は、支払い金額・支払期間・支払方法などです。分割払いなどもすることはできるのですが、財産分与を確実に受け取るためには一括払いが一番いいです。一方が不動産を受け取り、もう一方に多額の金銭を払わなければならないケースなどで分割払いをするケースもあると思いますができるだけ初回の支払金額を多めにしておくなど工夫が必要です。

ただし、民法には消滅時効という考え方があります。

消滅時効といえば昔あった殺人の時効は15年(現在は撤廃)というイメージがあるかと思いますが、世の中の権利や、義務にはすべて時効が存在します。
消滅時効とはある一定の期間がすぎてしまうとその権利や義務がなくなってしまう期間の事で、一般的には権利がある事を知ってから5年。または権利が発生してから10年とされていますが、離婚で元配偶者に財産分与の請求ができる期間は、離婚したときから2年以内とされています(民法768条ただし書)

もし何らかの理由があり、離婚前に財産分与の話し合いができなかったとしてもこの消滅時効の期間内に請求をしなかった場合。期間終了後、財産分与請求ができなくなってしまいます。

なお実際にいつのタイミングで財産を分配するかに関しては、不動産の名義変更などは離婚届を提出した後でないとできない為
一般的には離婚と同時またはやや遅れて実際に財産を分配する人が多いです。

トラブルが起きそうな場合は?

財産分与において、その財産を売却されたり隠されたりして配偶者に少しでも財産が渡らないよう策略するケースがまれにあります。

例えば不動産を売却してその売却金を第三者に預けたり

預貯金口座を解約してそのお金を個人的な用途で使ったりといったような具合です。

そのような場合には裁判所に申し立てる事によって保全手続を行う事ができます。

すでに公正証書を作成済だったり調停、審判が確定している場合はそれに基づいて強制執行することができますが、その前の段階であれば強制執行はできません。調停などが確定する前に財産を隠されてしまったら大変です。
そのような財産の隠ぺいの危険がある場合に、裁判所の命令によって暫定的に財産を保全することを保全処分と呼びます。

保全処分には、金銭の請求権を保全する仮差押え財産の処分を禁じる仮処分とがあります。

まとめ

財産分与をする際には後々の紛争防止のため、公正証書を作成しておくか、調停を経て取り決めをしておくとよいでしょう。

そして、その手続きは離婚をする前にすべて終わらせておくのがベターです。離婚後でも手続き自体は可能ですが、ご自身の取り分が減ってしまったり、消滅時効により請求そのものができなくなってしまう場合があります。

万が一トラブルがあった場合は裁判所に申し出て保全処分を行いましょう。