離婚を考えた時に「離婚協議書を作っておいた方がいいのかな?」と一度は考えると思いますし、何らかの書面を作る方が大半かと思います。離婚に伴い様々な約束事を口約束で済ませてしまうのは怖いですから当然です。

しかしご自分で作ろうとすると以下の様な悩みが出てきます。

・離婚協議書に何を書いていいのかわからない。
・書いてみたけどこれで本当に将来争い事が起きないか心配
・養育費や慰謝料を離婚協議書どおりに払ってくれるだろうか
・公正証書にしておいた方がいいと聞くけどどうなのだろうか

これらの悩みは誰もが直面する悩みです。ご安心ください。
このページでは離婚協議書に書くべき内容。そして書き方を丁寧に解説し、また離婚協議書を公正証書にするべきメリットを4点に絞ってご説明します。

離婚協議書とは

離婚協議書は離婚に伴って発生する様々な取り決めを文書にしたものです。

「慰謝料を300万円〇〇銀行の口座に振込む」
「離婚後子供が成人するまで養育費を月4万円ずつ支払う」
「離婚時の財産は夫婦双方で半分ずつにして分ける」

このような取り決めを定めたとして、口約束では言った言わないの争いになってしまいます。特に慰謝料や財産分与のような1回だけで終わる取り決めと違って、養育費は離婚後何年間にも渡って継続的に行う取り決めになりますので、途中でやっぱり考えが変わったと言って支払がストップしてしまう事が考えられます。

そのような時に書面にしておくことによって、言った言わないの争いをなくし、もし支払いが止まってしまった時でも書面を元に請求する事ができます。

離婚協議書の内容

離婚協議書に書くべき内容としては以下の様な事項があげられます。

1、離婚の合意
2、財産分与
3、慰謝料
4、年金分割
5、婚姻費用の請求
6、通知義務
7、清算条項

子供がいる場合は
8、子の親権
9、養育費
10、面会交流

といった事項です。
ここに書かれている内容以外にも例えば事業を営んでいる夫婦の場合、事業における取り決めを定めたり、住宅ローンを組んでいる夫婦の場合住宅ローンに関する個別の取り決めを行う等、各家庭に応じた様々な事柄を記載する事ができます。

離婚協議書の内容① -離婚の合意ー

離婚協議書は夫婦の離婚における取り決めを定めた書面です。
各取り決めは離婚をする事によって効果が発生するとされていますので、大前提として夫婦双方が離婚に合意している事を記載しておく必要があります。

後々あの離婚は本意ではなかった…と言っても困りますからね。

離婚協議書の内容② ー財産分与ー

夫婦が婚姻中に築いた財産は基本的にすべて財産分与の対象となります。
不動産や車など、財産が夫婦どちらかの名義となっていても関係ありません。また、例えば妻が専業主婦で外で働いていなかったとしても財産分与は当然に請求する権利はあります。
夫が外で働く事ができたのは妻が家を支えていたからだ。という考え方ができるからです。

その為財産目録を作成し、今現在の夫婦の財産を把握した上で折半する事を基本として分け方を検討しその内容を記載します。分け方の基本は折半となります。ただし夫婦の合意があれば別の分け方でもかまいません。また、お仕事が会社経営者や医者、芸能人など特別な能力や技術によってお仕事をしてきた方は折半ではなく少し偏った分け方になる例もあります。夫婦の貢献度に応じて慎重な協議が必要になるところです。

離婚協議書の内容③ ー慰謝料ー

慰謝料は離婚に伴う精神的損害に対してのお金になります。どちらか一方がもう片方に対し財産分与とは別に慰謝料を請求できる事となっています。
ただし慰謝料も込みにして財産分与の際に割合を多くしたり、慰謝料はいらない。とする事も多く必ず設定する必要はありません。設定しない場合は後述の清算条項の欄で慰謝料は請求しないと記載しておくと後からトラブルになる事は少ないでしょう。

また慰謝料は基本的に一括の支払となりますが、たまに分割での取り決めとする場合があります。

離婚協議書の内容④ -年金分割ー

離婚をする際に婚姻中の厚生年金の加入記録がある場合、その記録を当事者間で分割する事ができます。当事者双方の合意が必要な合意分割と、当事者一方の意思だけで行うことのできる3号分割と2つの制度がありますが合意できるのであれば3号分割でも協議書に記載しておくことが望ましいでしょう。

離婚協議書の内容⑤ -婚姻費用の請求ー

離婚時における婚姻費用の請求とは「結婚式や結納などの費用」の事ではなく、「別居中の生活費や養育費」の事です。離婚前に別居期間がある場合、夫婦の生活保持義務により、お互いに同レベルの生活レベルになる様に、収入が高い一方がもう一方に対して生活費を支払う必要があります。

別居期間中にそのような支払をしていなかった場合、離婚時に請求する事ができるようになっています。

離婚協議書の内容⑥ -通知義務ー

離婚後もお互いに全く連絡が取れなくなるのは不都合な場合があります。子どもがいなければいいかもしれませんが、子どもがいる場合養育費や面会交流、また将来の相続などの時に連絡先がわからなくなってはトラブルの元です。

その為住所や電話番号が変わった時、再婚した時などには文書(メールやSNS)でもいいので連絡する旨を定めておく方が安心です。

離婚協議書の内容⑦ -清算条項ー

清算条項とは離婚後に
「あの件について話し合ってない!」や
「実は借金があって、それも半分支払ってほしい」といった事を防止する為、紛争の蒸し返しを防ぐ為に離婚協議書に書かれた内容以外に互いに債権債務はない事を確認しておく条項です。

この条項を定めておく事で離婚協議書に書かれていない事柄を持ち出して後日トラブルになる。という事を防ぐ事ができます。

離婚協議書の内容⑧ -子の親権ー

子供がいる場合親権を決めておかなければそもそも離婚届を提出する事ができません。ですので子がいる場合はまず真っ先に親権を決めてしまいましょう。親権を決めないと養育費も面会交流も定める事ができません。

なお、親権と監護権は厳密には別物ですが、多くの場合において親権者が監護権者も兼ねています。親権者を定めると同時に監護権者も記載しておくとよいでしょう。

離婚協議書の内容⑨ -養育費ー

養育費は子どもを養育している親権者に対して元配偶者の側が支払う子どもの養育に使われる金銭になります。養育費は生活保持義務に応じて設定される金銭ですので基本的には無し。という事はできません。親権者と元配偶者の収入に応じて金額が決められるのが一般的です。

家庭裁判所のホームページに養育費の算定表が載っていますので、その表を参考に養育費を決めていくのが一番いいと思います。

また離婚協議書には養育費の終期(いつまで払うのか)、支払い方法(振込か。振込なら手数料はどうするのか)、臨時の出費(留学や大病、大けがによる障害等)への対応をどうするか等も記載しておくといいと思います。

離婚協議書の内容⑩ -面会交流ー

面会交流は親権者ではない親と子供の交流の為、月に1~2回設定される親子の面談、面会です。一緒に公園に行ったり、食事をしたり、遊園地をしたり、子供にとっては親権者ではない親からの愛情を感じられる大切な時間であり、親にとってもかけがえのない時間であり大事にしてほしい項目です。

面会交流はその頻度、時間、日時の決め方、予備日の設定方法、面会内容などについてルールが必要です。例えば離婚後、別の異性を好きになり再婚を考えるとすることもあるでしょう。そのような時面会交流の場に再婚予定の別の異性がいたら親権者である親も、子供も困惑してしまいます。その為「面会交流は基本的に1対1とする。第三者を同席させる場合は、親権者に報告し許可を得る」などという項目を設定する事も必要かもしれません。

離婚協議書の書き方

離婚協議書の書き方に明確な書式の様なものはありません。

どのようなかたちであれ書面に残し、夫婦双方の署名があればそれが離婚協議書になります。ただし離婚後争いになった場合に有効な離婚協議書といえるためには以下の様な項目に注意をして記入する必要があります。

離婚協議書の書き方① パソコンで作成する。

もちろん手書きでもよいのですが字が読めない事や、長い年月の間にインクがにじんでしまい判別が出来なくなってしまう事がありますので、可能な限りパソコンで作成し印刷したものを保管し、念のためデータ上でも保管をしておくことをお勧めします。

離婚協議書の書き方② 日付と署名、捺印を行う

契約は通常両者の合意でのみ成立します。捺印はなくても大丈夫ですが、慣習上捺印があった方が効力が高まります。またその際は捺印は実印で行うべきでしょう。印鑑証明書も取っておき一緒に保管しておけば言う事はありません。日付は直筆でなくてもいいとは思いますが作成日は必ず入れておくようにしましょう。

離婚協議書の書き方③ 公正証書にする

夫婦二人の間での離婚協議書は法的に効力のある文書となりますが、そのままでは養育費などの金銭の不払いがあった場合に強制執行をすることができません。

離婚協議書を使用して強制執行をするには、家庭裁判所に訴えを申立て勝利し、確定判決をもらう必要があります。

公正証書であれば強制執行認諾文言を付記する事によって公正証書が確定判決と同じ効果を持つので万が一不払いがあった時も迅速に対応する事ができます。

また、公証人という第三者を挟む事により、夫婦二人では気づかなかった事項も離婚協議書に盛り込む事ができると思います。

離婚協議書を公正証書にするべき4つの理由

離婚協議書は可能な限り公正証書にしておくべきだと思います。私は以下の様な4つの理由からそう考えております。

1、金銭に関する不履行があった場合スムーズに差押えなどが可能

さきほども申し上げた点です。
離婚後、財産分与や慰謝料は一括での支払いが基本となりますが、養育費に関しては子どもが成人するまでの間長い期間に渡っての支払いとなります。その間なにが起こるかわかりません。離婚時は絶対に養育費は払い続ける。と力強く言っていた配偶者が長い間のうちに気持ちが変わってきて、ふとしたきっかけ(振込忘れ等)から不払いになっていったという例をたくさん聞いてきました。

強制執行認諾文言がある公正証書であれば、養育費に関して不払いがあった時に、裁判をする事なく強制執行の申立ができます。強制執行認諾文言とは「契約に不履行があった時にはただちに強制執行をされてもかまいません」という趣旨の文言です。

時間も労力も少なく養育費を確保できる貯め為、お子さんがいる際の離婚に関してはぜひ利用していただきたいと思います。

公正証書が心理的圧力になる。

強制執行認諾文言付き公正証書を作成すると、いざという時に強制執行で財産を差し押さえられてしまう。当然公正証書を作成する際にその事を相手は承知して公正証書を作成します。

差押えの代表格として取り上げられるのが、会社からの給与です。

差押えされてしまえば会社の内部の人に差押えされた事がバレてしまい会社内での立ち位置が悪くなる場合もあるでしょう。社会的な信用が落ちてしまいます。

そうならない為にもきちんと期日通りに養育費を払ってくれる可能性が高まります。

車の運転でもスピード違反したら罰金と点数の減点があるから、安全運転をしよう。という人は少なからずいます。罰があるからちゃんとしよう。という思考回路の人にとっては公正証書は非常に有効です。

高い証拠力を持つ

公正証書は交渉役場にて公証人が作成する公文書です。
公証人は夫婦から協議した内容を聞き取りその内容を元に公正証書を作成しますが、法に反する内容であれば作成してもらう事はできません。

(例えば養育費はもらわないかわりに子どもとは金輪際面会させない。という様な決め事は子どもの権利も配偶者の権利も害しているので無効です)

さらに夫婦二人の意思が確かに合致しているかどうかについても公証人は確認をします。

その為公証人が作成した公正証書は法的に適法な公文書である事。夫婦二人の意思が確かに合致している事が証明されているので高い証拠力が備わっており、将来言った言わないの争いになった時にも迅速で確実な対応ができる事が期待されます。

4、養育費の支払者にとっても追加の出費を防ぐ事ができる。

公正証書は養育費を受け取る側のみに一方的なメリットがある様にも見えますが、養育費を支払う側にとってもメリットがあります。それは、公正証書で決めた事以上の支払いをしなくて済むという点。そして別れた配偶者に通知義務を課す事によってもし再婚した場合などに養育費を減額する等の項目を盛り込む事ができます。

通常判例では養育費を受け取る側が再婚したとしても直ちに養育費が減額になる事はありませんが、通常は生活環境が変わりますので減額するのが一般的かと思います。

その為その条項を養育費を決める際に公正証書にしておくことで後から減額する事が容易になるようにしておく事ができます。

また、養育費は最初に決めた金額をずっと支払い続けなければならないものではなく、リストラや転職、病気や怪我で離婚協議書作成当時とは状況が変わった時も双方協議の上減額は出来る事になっています。

一方だけに有利な離婚協議書ではなく、双方にとってメリットのある離婚協議書にするためにも公正証書にすることはとても大事です。

まとめ

離婚の際に、後々のトラブルを防ぐ為には決めるべき事を漏れのないようにしっかり話し合いその話し合った結果を離婚協議書にしっかり記載しておくことが大切です。そして私文書である離婚協議書ではなく強制執行認諾文言のついた公正証書にする事でより確実性の高い協議書となります。

離婚協議書の作成は権利義務に関する書類作成の一つにあたり、行政書士が作成する事のできる書類の一つです。行政書士は弁護士と違い紛争性のある離婚協議に関わる事はできませんがその分お求めやすい金額でご相談を受ける事が可能です。

どうぞお気軽にご相談ください。メールやSNSなど文字媒体での相談に関しては相談料は無料とさせていただいております。