養育費を請求する際に、その金額を計算する為に養育費算定表が用いられております。

裁判所のホームページから探す事のできる算定表ですが、意外と悩んでしまうのがこの「年収」というざっくりとした記載の仕方です。

この年収とはどこからどこまでを指すのでしょうか?

会社員であれば手取りの収入?それとも総支給額?
個人事業主であれば売上?それとも経費を引いた純利益?それとも確定申告の際の所得?
コロナ禍で給付金や助成金をもらった場合その扱いは?

今回は養育費算定表を用いた時に陥りやすいその様な疑問に答えました。
この記事をご覧になれば迷う事なく養育費算定表から適正な養育費を計算する事ができるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

養育費算定表における年収と基礎収入の考え

具体的なケース別の回答に移る前に養育費算定表における年収基礎収入の違いについて説明してみたいと思います。

元々養育費算定表ができるから、養育費は「自分の生活を保持するのと同程度の生活を被扶養者にも保持させる義務」(生活保持義務)を元に親権を持たない親が親権を持つ親に対して支払うものと考えられています。

その為、実際の収入額を基礎とはするものの可能な限り実収入に近い形で計算されるものとされていました。

つまり養育費の支払義務者が子と同居していたと仮定した場合、子の為に実際に消費されていたはずの生活費はいくらか。という視点が大事になります。その子の為に消費されたであろう生活費を養育費支払義務者と権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき額を決める事になっています。

算定表はその考えを元に、総収入に占める基礎収入の割合を計算してすでに作られている為、
税金や社会保険料などの租税公課は計算する必要は基本的にはありません。

 

給与所得者のケース

給与所得者については、給与所得者の年収を示す源泉徴収票の「支払金額」が総収入にあたります。

支払金額に記載されている金額をそのまま縦軸または横軸に当てはめていけば大丈夫です。

自営業者、フリーランスのケース

自営業者、フリーランスについては、確定申告書の「課税される所得金額」が総収入にあたります。

この場合、課税標準を計算する上での収入金額(売上金額)が養育費算定に使用する総収入ではない事に注意しましょう。売上金額はあくまで売上であり、仕入や経費、各種控除があった上で自分自身の所得になります。

しかしさらにここで注意してほしいところは、この「課税される所得金額」には税務上様々な控除がされた結果でもあり、その控除の中には現実には支出されていない控除項目もあり、また算定表を作成した裁判所側ですでに特別経費として考慮されている項目もあります。したがって「課税される所得金額」そのものをそのまま総収入にするのは不自然です。

実務的には

「課税される所得金額」に
「所得から差し引かれる金額」のうち、①「社会保険料控除」以外の各控除項目。②青色申告特別控除額、③専従者給与額の3点を加えた金額を総収入とするべきとされています。

給与所得と事業所得の両方を得ている場合

例えば保険の外交員や、副業で本業の給与所得以外からも収入を得ているケースなど近年増えている働き方です。
この場合算定表の収入欄から給与所得額または事業所得額の一方を他方に換算し、それらの合計額について算定表を利用します。

例えば給与所得額を事業所得に換算する場合、まず給与の源泉徴収票の「支払金額」を確認します。その次に事業所得の金額を計算する為、確定申告書を用意し、「課税される所得金額」に「所得から差し引かれる金額」の中から①「社会保険料控除」以外の各控除項目。②青色申告特別控除額、③専従者給与額の3点を加えた金額を計算します。

最後に最初に確認しておいた「給与所得(源泉徴収票の支払金額)」を合計して二つの収入の合計額を算出します。

総収入の実績が不明な場合

不明な場合というのは働き始めてまだ間がなく、「1か月分の給与の12か月分」の様な金額では計算できない場合や、当事者が資料を提出しない場合や提出した資料の信用性が低い場合などがあてはまります。

この場合は賃金センサス等を利用して推計し、給与所得者として取り扱って養育費を算定する事になります。

コロナによる給付金や障害年金など国から支給されたお金の扱いは?

コロナ禍によって様々な給付金や協力金が生まれました。
定額給付金、家賃支援給付金、持続化給付金、休業協力金、まだまだたくさんあります。
そしてそれ以外にも傷病手当金や障害年金、生活保護、育児休業給付金など国や自治体からお金をもらう制度はいくつもあります。このようなお金に関してはどのように扱うのでしょうか?

上記に記載されている給付金等のうち、定額給付金と生活保護を除く全ての給付金等は収入として支給されるもので、個人事業主であれば確定申告でも申告しなければいけないものとなっています。

ですから定額給付金と生活保護以外は収入としてカウントしておく必要があります。

(生活保護の場合の離婚については別記事にてご案内します)

ただここで問題となり得るのは最初でもご案内した総収入と基礎収入は違う。という事です。

持続化給付金で100万円入ったとしても算定表にてそのまま100万円を総収入に載せるだけでは実態を正確に反映できません。

基本的には収入から経費を差し引いた部分が基礎収入となりますので、このケースの持続化給付金は経費もかからず発生した収入になります。

他にも傷病手当金や育児休業給付金などは非課税枠となっており、税金が発生しません。

税金や社会保険料などの租税公課や経費の存在を考慮する養育費算定表ではそのまま計算すると基礎収入が実際よりも低く計算されてしまう事になります。

ただそうはいってもコロナによって売上、収入に減少が起きているから給付金が出ているわけですし、傷病手当金や育児休業給付金なども様々な生活の負担が生じるから支給されているという側面があります。機械的に算定表でばっと決めてよいのか議論の余地はあるところですので、この点については話合いが必要となってくるのではないでしょうか。