離婚する時にはお金の問題というのがついてまわります。

養育費、慰謝料、財産分与…

元々正社員でない働き方をしていた女性や、専業主婦だった女性にとっては離婚後の収入が一般的に男性よりも少ない為、どれだけ自分の権利に沿って適切に財産分与等を受けるかというのは非常に大事です。

そんな中色々なご相談を聞いていて退職金を財産分与の対象として考えていなかったという方が多い印象があります。

退職金は財産分与の対象なの?
対象ならどのくらいもらえるの?
どういう手続をとればいいの?

本日はそんな疑問にお答えしたいと思います。

退職金は財産分与の対象なのか?

結論からまず申し上げますと退職金も財産分与の対象となります。
50代の熟年離婚で退職金の受給年齢が近い方はもちろん。20代~30代で退職金の受給年齢が遠い方でも対象となります。

もちろん夫の退職金だけでなく、妻も退職金が支給される働き方なのであれば妻の退職金も分割の対象です。

退職金の性質

元来、離婚の際の財産分与の対象は、原則として離婚または別居時点で現実に存在している財産に限られていました。その為将来受け取る予定の退職金については財産分与の対象ではありませんでした。

しかし退職金が賃金の後払い的性質を有するものであるという点から、平成に入り退職金の支給が比較的近い場合に限り財産分与の対象とする例が増えてきました。

そして令和となった現在においては、退職までにある程度年数があっても、基準時(離婚時または別居時)において勤めている会社を自己都合退職した場合の支給額を用いて財産分与を行う事が一般的となってきています。

財産分与の金額はどうやって求める?

先ほどもお伝えしたように、退職が近く退職金がほぼ確定している場合にはその金額が。
退職が遠く将来の退職金が不透明な場合は基準時(離婚時または別居時)において自己都合退職した場合の支給金額が基本の金額となります。

そしてその基本となる金額を基準時までの会社の在籍期間で割ります。
割る事によって在籍1年あたりの退職金の加算額を計算するわけですね。

そしてその在職1年あたりの金額に婚姻期間(同居期間)をかけます。
婚姻(同居)前および別居後は、退職金に対しての配偶者の貢献はない為、その期間は財産分与の対象となりません。

そして最終的に求めた金額を1/2(寄与率)をかけて財産分与として配偶者に渡す金額を求める事ができます。

まとめると以下の様な式になります。

基準時(離婚時または別居時)において自己都合退職した場合の支給金額×(同居期間/基準時までの在籍期間)×1/2(寄与率)

支払方法は

支払方法については離婚時に一括払いが原則ではありますが、あくまでも退職金は退職をしないと入ってこないお金の為、相手方の支払い能力がないケースも考えられます。

その場合は退職金支給時に支払う旨の合意を結んだり、分割払いにて支払う合意をすることもあります。

この場合は離婚時から支給時までの間にかなりの時間が空いてしまったり、分割払いが途中で途切れてしまうリスクなどをしっかりと考え、できる限り離婚協議書を作成し公正証書にしておくとよいでしょう。

退職金の代わりに企業年金を設定している場合は?

会社によっては企業年金として退職金を設定している会社や、退職金替わりにiDeCoを運用している会社も最近は増えています。

これらの年金は年金分割の対象とはなりませんが、財産分与の対象にはなります。

しかしこれらは支給期間も商品や制度によりバラバラで、運用により支給額も変わる為財産分与の計算が難しくなっています。

一応算定する方法として以下の様な方法がありますのでご紹介します。

方法⑴

年間の年金受領額×相手方の年金開始年齢時における平均余命年数に応じた中間利息控除のための係数(ライプニッツ係数)×(同居期間/在職期間)×1/2
方法⑵

別居または離婚時に解約して企業年金から脱退したと仮定した場合に支払われる払戻金額×(同居期間/在職期間)×1/2

まとめ

退職金は人によっては1,000万円を超える大きな金額が動く財産になります。
離婚後の生活を安定したものにする為にも忘れずに権利として主張し、正しい割合を財産分与で受け取れるようにしてください。