こんにちは。三島友紀FP事務所の三島です。前回シングルマザーの家庭における必須の生命保険は「収入保障保険」である。とお伝えさせていただきました。ただ世の中には医療保険に加入されている人もとても多いと思います。実際に私も現在は加入しておりますし、妻にも加入させています。よくブログや書籍などでFPが「医療保険はまったく必要ない!加入するくらいならそのお金を投資にあてろ!」というような主張をされているのを見かけますが、私はそこまでは極端なスタンスは反対の立場です。なぜなら実際に大病を患った時の「気持ち」の部分を考えるとけして医療保険は損なものではないと思うからです。今回は医療保険の必要性と加入した場合のデメリットメリットをシングルマザーの方向けにお伝えさせていただきます。

1、医療保険は損?

まずは医療保険は損か得かという議論です。これは実は簡単で、単純に金額面だけを見たら損なのです。なぜか…?

医療保険を損得で考える場合、一生涯に払う保険料(コスト)と入院などをした場合に受け取れるお金(リターン)で計算します。

例えば30歳女性があるО保険会社の医療保険に日額1万円と先進医療特約をつけて加入した場合、月々は3,098円です。30歳女性の平均余命57.70年。支払う保険料の総額は3,098円×12か月×57.70年=2,145,055円となります。この214万円が保険のコストです。ではいくらもらうことができるのか

平成26年度の厚生労働省が発表した患者調査によると、1回の入院における入院日数は平均31.9日となっております。ただこの日数は認知症376.5日。統合失調症546.1日など一部の病気が大きく平均を伸ばしている現実があります。現実的なところでは、がんの入院患者の平均である19.25日を使うべきでしょう。19.25日×10,000円=192,500円。これが一回の入院でもらえる費用とすると実に11.1回の入院をしないと214万には届かずに損だったといえることになるのです。もちろん手術をすればこの保険の内容であれば20万円の給付が受けられるので実際はもっと入院回数は少なくなると思いますが、それでも支払った214万円を回収するだけのお金を受け取るのはかなり難しいでしょう。

支払った分以上のリターンがないから損!というのが医療保険否定派の意見ですね。まぁここまでは別に間違った事はなく、私もその通りだと思います。

2、実は結構優秀な公的保障

日本には民間の保険に入らなくとも優秀な公的な保証がすでにあります。「高額療養費制度」です。これは同一月の間で入院などの治療費が高額となった場合、収入に連動して決められた限度額までしか自己負担はかからない(払い戻しを受けられる)という制度です。何度でも使えますし、4か月以上の長期入院となった場合は、限度額も引き下げが行われるので、長期入院でも安心です。

限度額の計算は収入により変わりますが、多くの人は上限が9万円程度で収まります。つまり9万円の貯金があれば不意な入院にも対応できるという事です。3か月ほどの長期入院だとしても27万円。どうでしょうか。思ったほど高額ではないのではないでしょうか。この高額療養費という制度がある事も医療保険が不要だという理由のひとつとされます。

※参考 高額療養費の限度額一覧(70歳未満の方の区分)

平成27年1月診療分から

 所得区分  自己負担限度額 多数該当
①区分ア
(標準報酬月額83万円以上の方)
(報酬月額81万円以上の方)
 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%  140,100円
②区分イ
(標準報酬月額53万~79万円の方)
(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)
 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%  93,000円
③区分ウ
(標準報酬月額28万~50万円の方)
(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)
80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% 44,400円
④区分エ
(標準報酬月額26万円以下の方)
(報酬月額27万円未満の方)
 57,600円  44,400円
⑤区分オ(低所得者)
(被保険者が市区町村民税の非課税者等)
 35,400円  24,600円

※1総医療費とは保険適用される診療費用の総額(10割)です。
※2診療を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減されます。
注)「区分ア」または「区分イ」に該当する場合、市区町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での「区分ア」または「区分イ」の該当となります。

※全国健康保険協会参照

3、実際に病気にかかった時の事をイメージしましょう

支払う保険料より受け取る保険金の方が少なくなる可能性が高い事。

高額療養費によって実際に病気になったとしても大きな負担にならないことがわかりました。

ではだからといって医療保険は絶対に入るべきではないのでしょうか。少しイメージしてみましょう。

30代女性の罹患率が一番高い重い病気は婦人科系の病気で子宮頸がんや卵巣がんです。ニュースで芸能人がかかったなど話題になりやすい乳がんは40代後半からがピークで、30代は子宮頸がんの方が多いです。もちろん2年に1度の検診が推奨されているように、きちんと検診や治療を行えば予防できる病気です。その反面、一度がんにかかるとやはり転移や再発などが付きまとうのもまた事実です

治療には手術だけでなく、抗がん剤治療、放射線治療などが併用されるのが一般的でその治療は長期化することが多く、今までどおりの生活や仕事を行うことが困難となってきます。これが60代、70代で仕事をもう引退していたり、子育てもひと段落ついている人であれば治療のために日常生活に支障がでても大丈夫かもしれません。ただ働き盛り、子育て真っ最中の30代にこのような状況になってしまうと、とても不安な状況に陥ります。仮に貯金が数百万円あったとしてもいつから仕事ができるかわからない中、残高がどんどん減っていく恐怖はとても恐ろしいものです。

ここが「気持ち」の部分です。現実に貯蓄の余裕がある家庭でも実際に病にかかった時。いつまで治療がかかるのかわからない中、貯蓄残高がどんどん減る。その気持ちを一度考えてみてください。

また平均値では入院日数は31.9日ですが、病気というのは一度かかるとそれを引き金にして別の病気で入院することも多いです。子宮頸がんで入院した方が治療後大腸がんで入院したり、高血圧による心疾患で入院した人が、同じく高血圧を原因とする脳疾患で入院したりといった具合です。保険のお世話にならない人は一生お世話にならないのですが、お世話になる人は何度もお世話になるのです。そして自分がお世話になるタイプの人間なのかどうかは若いうちは判断できません。50代くらいになってようやく、病気につながる要素が少しずつ表面に現れていきます。

4、私の推奨する医療保険の入り方

私は医療保険は若いうちは加入しておくのがベターだと思います。

若いうちは貯蓄もあまり多くありませんし、自分がこれからどういう健康状態で、どういう病気にかかりやすいかがわからないからです。

ただ一生涯かける必要性は低いです。先ほどお伝えしたように、仕事を退職していたり、子育てが終わった後であれば、ある程度の貯蓄があれば治療費や生活の心配をすることはないからです。

イメージとしては50歳くらいが一つの節目でしょうか。30歳の方であれば50歳までの20年間は医療保険に入っておく。死ぬまで保障する終身型の保険と違ってこれなら保険料の負担もとても少ないです。できればがんや心疾患、脳血管疾患になった時の一時金の保障などもあると安心です。これに加入することで若いうちにがんなど重い病にかかってしまった場合の治療費と生活費を補てんすることができます。そしてそれと同時進行で貯蓄と投資に励みます。50歳までに2~300万円の「何かあった時用の絶対に手を付けないお金」を作ります。

投資しながら貯めるのであれば毎月5,000円の積み立て投資でこのくらいのお金は作れます。

50歳以降に病にかかってしまった時にはこのお金を取り崩すこととします。300万円あればほぼ99%の病気や治療に対応できるはずです。

保険だと病気になった時や怪我をしたときしか使えませんが、現金であれば家のリフォームやリストラなど病気以外の生活のピンチにも使う事ができますので使い勝手がよいというのも貯蓄を勧める理由です。

5、どの医療保険がいいの?その選び方は?

まずは地域で販売している共済(都民共済や県民共済など)や自分が勤めている会社の団体保険などをチェックしてみましょう。共済は利益を目的として事業を行っていない為割安ですし、団体保険はスケールメリットを生かして通常よりも割引になっています。このような保険はだいたい60歳以降や70歳以降が割高になったり、引き続き加入できない。等のデメリットがあるのですが、私の話のように50歳までの加入を考えるのであればデメリットはないので、おおいに検討してみてもよいと思います。

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※参考 全国生協連

民間の医療保険に加入する場合は、50歳までなどの定期で加入できる保険と死ぬまで有効になっている終身の医療保険の2つを検討します。通常は定期の医療保険の方が割安ですが、終身の医療保険の方が保険会社間の競争が激しい為値引き合戦の様相になり、保険会社によってはあまり金額に差がない。というケースもあります。なので2つを見比べて自分だったらどちらの方がお得感を感じるか。という点を考えるべきだと思います。

そのうえで単なる入院保障、手術保障だけでなく、一時金の保障があるタイプの方が保険としては優れています。

これはひとつ前の項目でお伝えした、保険よりも現金の方が使い勝手がよいという話と似ているのですが、入院の給付金は入院をしないと受け取れませんが、一時金のタイプだとがんと診断された時や、脳卒中で所定の状態になった時。など病気になった時に一度に支払われるので使い道に幅が広いのです。今はがんと診断されても入院せず通院だけで治療をするケースもあるので、入院給付金があまり重視されなくなってきました。その代わりに汎用性の高い一時金を重視して保険会社を決めるとよいと思います。その際一時金をもらえる要件は保険会社によって微妙に変わっていますので注意をしてください。
(例えばある保険会社は急性心筋梗塞で20日間入院しないともらえないところ。別の保険会社は急性心筋梗塞で診断された時点でもらえる。等もらいやすさが変わってきています)

6、まとめ

今回私は50歳までは医療保険に加入しておいた方がよいのではないか。というお話をさせていただきました。ただ私のいう事が絶対に正しいわけではありません。

保険に関しては色々な考えがあっていいと思います。未来の事は誰にもわかりませんからね。

大事なのは「選ぶ」ことです。

声を大にしていいますが保険会社の営業マンや保険ショップの店員は「保険を売りたくて仕方ありません」

あなたの前でどんなに「あなたの事を考えて…」という話をしていても、この事実は絶対です。

ですからその人の情報だけ で保険を決めるのではなく、色々とご自身で情報収集をして、私のような第三者の意見も聞いたうえで、自分で選んで加入するのが一番大事です。もちろん加入しない選択肢もおおいにオッケーです。その場合はきちんと万が一の時の貯蓄はしておきましょうね。