今日は令和2年7月3日です。
ちょうど1週間後の7月10日。遺言書に関する新しいサービスが開始されます。
それが自筆証書遺言の保管制度です。

知らない人もまだまだ多いこのサービス。どういった制度なのか。そしてどういったメリットがあるのか。解説したいと思います。

実は……デメリットもあるので知っておいてくださいね。

自筆証書遺言保管制度とは

この制度は令和2年7月1日から予約が始まり、令和2年7月10日にサービスが開始される制度です。公的機関である法務局が遺言者が自筆した自筆遺言証書を預かる事ができるサービスで、今までは自宅で保管されることが多かった自筆遺言証書が公的機関で保管されることで紛失や滅失。相続人による廃棄、隠匿、改ざんが行われないという大きなメリットがあります。

手続方法

①自筆遺言証書を作成する。

まずは普通に遺言書を記入します。
自筆証書遺言の要件は①表紙及び本文全文を自書する。②作成した年月日を記入する。③押印をする。の3点です。
財産目録はあった方が確実ですが、必須要件ではありません。単純な遺言書であれば(一切の財産を妻〇〇に相続させる。等)財産目録はなくてもいいかもしれません。

②保管申請をする遺言書保管所を決める

全国に法務局や法務局出張所はたくさんありますが、どこでも保管をお願いできるわけではありません。あらかじめ遺言書保管所として決められた場所に申請をしないといけません。

例えば東京の場合。本局以外に出張所と支局が合わせて22ありますが遺言書保管所として決められているのは5ヵ所だけです。(本局。板橋出張所。八王子支局。府中支局。西多摩支局)

またその5ヵ所どこでもいいわけではなく、
①遺言者の住所地
②遺言者の本籍地
③遺言者が所有する不動産の所在地 のいずれかを管轄する遺言書保管所となっています。

ただし、すでに他の遺言書を遺言書保管所に預けている場合には、その遺言書保管所で再度申請しないといけません。

③申請書を作成する

法務省ホームページからダウンロードできる申請書を印刷して記入します。
(遺言書保管所の窓口にも備え付けられています)

④保管の申請の予約をする

予約は必須となっております。
法務局手続き案内予約サービスの専用HPを使って予約するのが一番スムーズです。
24時間365日いつでも予約できます

また直接遺言書保管所へ電話したり、窓口で直接予約することも可能です。
この場合は平日の8:30~17:15までとなっております。

⑤遺言書保管所へ行き保管申請をする

予約した当日に遺言者本人が直接遺言書保管所へ行き保管の申請をします。

窓口に持参するものは①遺言書②保管申請書③住民票(本籍の記載要)④本人確認書類(運転免許所、マイナンバーカードなど)⑤手数料3,900円(収入印紙にて)

手続が終われば保管番号などが記された保管証を発行してもらえますのでその保管証を大切に保管しておきましょう。

遺言書保管制度のメリットは

一番大きなメリットは先にお伝えした紛失や滅失。相続人による廃棄、隠匿、改ざんが行われないという点にあります。

そしてそれと匹敵するほど大きなメリット。それは

検認手続きが不要になる。

です。

検認手続きとは自筆証書遺言を遺して亡くなられた場合、その自筆証書遺言が確かに遺言者が書いたものかどうか家庭裁判所でチェックをしなければならない制度です。これは自筆証書遺言であれば必ず行わなければならず、検認の前に勝手に相続人が遺言書を開封などした場合は過料が科されるなどペナルティもありました。

この検認手続きが必要なくなります。自筆証書遺言を保管するときに本人の来庁が求められているので、そこで本人確認ができるためだといわれています。

検認手続きがあると遺言書の発見から実際に相続手続きに移るまで1か月くらい時間がかかってしまう為、スムーズな遺言執行が可能となります。

保管制度にデメリットはあるのか?

そんないいことずくめの様にも見える遺言書保管制度ですが、デメリットはあるのでしょうか?

これがあるのです。
やはり人間がつくる制度。メリットもあればデメリットもあるのです。

デメリットは2つー

①遺言書の内容までチェックはされない

あくまでこのサービスの本願は「保管」にあります。
遺言書の内容などにチェックは入りません。(要件のチェックくらいはしてくれるそうです。名前がきちんと書かれてるか。年月日があるか。押印はあるか)
という事は、遺留分対策も、遺言執行者の記載も、その他一切の財産の記載の有無も、付言事項についてもどんな内容にするのかは全て遺言者が自ら決めなければいけません。

これは家族関係が複雑な遺言者であればかなりの法律知識を求められます。
遺言書の目的の一つが紛争の防止にあるのだとすれば、公正証書遺言と比べて紛争防止の効果はやはりあいかわらず低いといえます。

②遺言者が亡くなられた後、遺言の閲覧をすると遺言書を保管している旨が相続人に知れ渡る

遺言者が亡くなられた後、相続人などが遺言の閲覧請求を遺言書保管所に行った場合、公平性の観点から閲覧請求を行った人を除いた相続人に、遺言者が遺言を遺している旨の通知が行く仕組みになっています。

たとえばあなたでしたらいきなり法務局から、父親の遺言書があります。と連絡が来たらかなり驚くのではないでしょうか?何もやましいことがなくても少し嫌な気持ちにもなるかもしれません。

家族の中で不信感が生まれない様に遺言書を保管するときには関係する家族にはあらかじめ伝えておいた方がいいのではないか。と私は思います。

まとめ

自筆遺言証書保管制度はとても優れた制度ですが、デメリットもあります。
内容が複雑になりそうな遺言書。家族関係が複雑な場合などは公正証書遺言に切り替えることも検討しましょう!

保管制度の手続の注意点
①遺言書保管所になっている法務局出張所は少ない
②本人が出向かないといけない(代理申請不可)
③内容のチェックまではされない
④遺言者の死後、閲覧申請した場合全相続人に通知がいく