親が亡くなって相続が発生すると遺言書がなければ
相続人間で協議を行って親の財産を分ける事になります。当然不動産も財産分与の対象です。

しかし親が遠方に住んでいたり、子どもたちは独立してすでに住宅を構えていたりする場合、相続の際親が住んでいた実家を相続することを拒否するケースが出てきます。

その時にすぐに親の不動産を売却すればよいのですが色々な事情から売却しない(できない)事があります。
その場合、親が住んでいた家は【空き家】となってしまい色々と問題が発生してしまいます。

この場合どうするのが正解なのでしょうか?

親が亡くなった後の実家の空き家問題

親が住んでいた実家に子どもたちが住まないという事になるとその家は空き家となってしまいます。

空き家には様々な問題が発生する原因となります。

景観を害する

まず空き家というのは住宅の劣化が早いです
家は人が住まなくなるとあっというまにカビたり、腐ったりして見た目にも劣化していきます。
閑静な住宅街の中にいきなりボロボロの空き家があったりするのを目にしたことはないでしょうか。雑草が生い茂って、屋根が崩れているような状態では街の景観を害し治安も悪くなります。

放火の危険性

日本の戸建てはほぼ木造住宅です。空き家は火の手があがりやすいと言われております。
確かに悪い連中がたむろしてたばこの火から火災になる危険性もありそうです。

火災になれば当然近隣の住居に甚大な被害が発生します。

台風や地震の際の被害が拡大

台風や地震の際に人が住んでいれば事前にモノが飛ばないようになど対策がとれますが、空き家ではそうはいきません。
現に最近は大型の台風の被害が毎年のように起きていますが、空き家の屋根が飛んできて近隣の住宅や車に被害を与えている事例がたくさん報告されています。

 

 

このように空き家には様々な問題が発生する危険をはらんでいます。

国や自治体もこの点には非常に気にしており
平成26年11月には国会で「空家対策特別措置法」が成立しました。

空家対策特別措置法とは

空家対策特別措置法とは、空き家の放置によって発生するさまざまなトラブルを解消し、空き家の活用や処分を進める為の法律です。

この法律で一番目玉となっている内容が「特定空き家」です。

空き家対策特別措置法で「特定空き家」として認定された空き家の所有者に対し、行政が修繕や撤去を命じる事ができ、さらには固定資産税の特例を解除されるペナルティも課す事ができるようになりました。

特定空き家に認定される基準は以下の4点です。

1、倒壊の危険性のある住宅

主に建築物に①著しい傾斜がある場合②建築物の構造耐力上主要な部分の損傷等がないかどうか
または③屋根、外壁等が脱落、飛散等するおそれがあるどうか等で判断します。

構造耐力上主要な部分の損傷等とは、例えば基礎や土台、柱ににひび割れや破損、腐食が発生している状態のことを指します。

2、衛生面において悪影響が及ぶと考えられる住宅

衛生面での悪影響は例えば、①建築物又は設備等の破損等が原因で、壁に使われている石綿等が飛散する恐れがあったり
②排水や汚物が流出し臭気が発生して地域住民の生活に支障が発生するおそれがある場合
③ごみ等を放置する事で臭気や害虫が発生し地域住民の生活に支障が発生するような場合が考えられます。

3、管理が行き届かず景観を損ねる住宅

景観法に基づいた都市計画や景観計画を立てている場合、その①計画に著しく適合しない状態になってしまった建築物や、②屋根や外壁が崩れ落ちたまま放置されたり、③窓ガラスが割れてそのままだったり、④ゴミが散乱されていたり、⑤立木などが建築物の全面を覆うまで生い茂っているような場合が考えられます。

4、その他周辺の生活環境を著しく乱すと考えられる住宅

その他の事象としては例えば立木が伸び放題になっていて、①近隣の道路に枝葉が大量に散らばったり、通行の邪魔になってしまっている場合②動物や害虫が住み着き、鳴き声、糞尿、臭気などによって周辺環境が著しく悪化している。③窓ガラスが割れたり施錠がされてない事により不審者が容易に入れる④雪対策がされていない為に落雪による歩行者への被害がでている場合などが考えられます。

特定空き家に認定された場合のペナルティとは

上記のような状態に1つでも当てはまると特定空き家となる可能性があります。

特定空き家になってしまった場合どのようなペナルティがあるのでしょうか。

特定空き家に認定された後は主に4つの段階に分けられます。

1、助言・指導

2、勧告(=固定資産税の特例から除外)

3、命令(=50万円以下の過料)

4、代執行

ひとつずつ見ていきましょう。

1、助言・指導

助言は行政から建築物の管理者に「枝が道路に伸びているので切ってください」「汚水が漏れているようなので水道業者に言って修理をしてもらってください」の様に適正な管理を求める連絡が入ります。このような助言の場合、だいたいは地域住民から苦情があったものといえます。
助言には強制力はありませんが、無視すると徐々に強い要請になりますので真摯に対応する事が必要です。
指導は助言よりも重い行政指導です。助言を行っても現状に変わりがない場合や、複数の地域住民から苦情があった場合などに行われます。
指導がきた場合、早急な対応が必要となります。

2、勧告(=固定資産税の特例から除外)

指導によっても状況が改善されない場合、市区町村は建築物の所有者に対して「勧告」を行います。

勧告が出されるとその状況が改善されるまで固定資産税の小規模宅地の特例という優遇措置が適用されなくなってしまい、勧告前よりも6倍高い固定資産税を支払う事になってしまいます。

(この小規模宅地の特例があるので、空き家を取り壊して更地にしない所有者は多くいます。)

勧告を受けた場合はすみやかに市区町村の担当者に連絡をして改善する必要があります。
勧告を受けているという事はそのまま放置すると危険性があるという事ですので、かなり深刻な事態と言えます。

3、命令(=50万円以下の過料)

勧告によっても空き家の状況が改善されない場合、さらに強力な「命令」を市区町村は行います。

命令はこれまでの、助言・指導・勧告という「行政指導」とは違い、強制力のある「行政処分」という行為で、無視をしたり命令に従わない場合、空家等対策特別措置法によって50万円以下の過料が科されます。

命令は行政からのもっとも強い通告です。
空き家をそのまま放置した場合、火災や風災、建物の倒壊や犯罪などによって、近隣住民の生命・財産に大きな損害が及ぶ可能性がある。という事です。

必ず命令に従い行政の担当者と最善の対策をとるようにしましょう。

代執行

行政の最終手段です。

命令を受けても状況が改善されない場合、行政代執行法に基づいて、行政が直接空き家の撤去、処分、解体を行います。そしてその費用は所有者に請求します。

これは空き家をそのまま放置することが周辺環境に著しい危険を生じさせるような場合に行政が行う事のできる最終手段になっています。

行政代執行法第二条 
法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。


 

まとめ

親が亡くなった後、相続した不動産に誰も住まなくなると「空き家」となります。

「空き家」は景観を害したり、火災や犯罪、自然災害の時の被害が甚大になる為
空き家の状態を放置しておくことは良い事ではありません。

現在は空家対策特別措置法によって特定空き家という制度ができました。
倒壊の危険があったり、衛生面に問題がある場合特定空き家に認定されてしまい
認定された後の助言や勧告を無視し続けていると、小規模宅地の特例が使えなくなってしまったり、
過料が科されてしまったり最悪の場合は代執行が行われてしまいます。

なによりも周辺住民との関係が著しく悪くなってしまいますので、まずは空き家を発生させない事。

そして空き家になった場合は適切な管理や利用を行う事。

が大事となって参ります。

弊事務所では「空き家問題解決サポート会」に所属しており空き家問題を解決するネットワークを持っております。相続に付随する空き家相談もお気軽にご連絡くださいませ。