前回の記事で遺産分割協議書とはどういうものか解説させていただきました。

(もしご覧になられてない方は下のリンクからご覧くださいませ)

遺産分割協議書とは?作らないといけないの?

今回の記事では遺産分割協議書の作り方を解説したいと思います。

この通りに進めていただければご自分で遺産分割協議書を作成する事も可能です!

それではいってみましょう。

遺産分割協議書の作り方

遺産分割協議書を作るには一定の流れがあります。まずはその流れで大枠をつかんだ後にひとつひとつの事柄を詳しく解説したいと思います。

1、遺言書がないか確認

2、相続人の確認

3、相続財産の調査

4、相続放棄するかどうかの検討

5、相続財産の分け方を検討

6、遺産分割協議

7、遺産分割協議書の作成

主にこの7つの段階を踏むと言われています。

1、遺言書がないか確認

相続人に遺言の存在を知らしていない場合でも被相続人がこっそりと遺言を作っていたという可能性はあります。公正証書遺言であれば遺言検索システムを使用して探します。
自筆証書遺言の場合は相続人が自ら遺言書を保管していそうな場所を探してみる事が必要です。

せっかく遺産分割協議をしていても、後から遺言書が出てくるとその遺産分割協議が無効になってしまう場合がありますので、まずは一番最初に(もしくは2や3と同時に)遺言書を探しましょう。

遺言検索システム

公正証書遺言の場合は作成した公証役場に原本が保管されています。
まずは近くの公証役場に行き、「遺言検索」を行う事で全国の公証役場に被相続人の遺言書が保管されているかどうか確認することができます。

また令和2年7月10日以降は自筆証書遺言にも保管制度ができました。
この制度を使って法務局に自筆証書遺言を保管していた場合は、公正証書遺言と同じように自筆証書遺言を確認することができます。

自筆証書遺言を探す

自筆証書遺言は自筆証書遺言の保管制度を使用していない場合はどこに保管されているかわかりません。自宅の中の被相続人が使っていたタンスや机、押し入れや金庫の中。病院の病室。入所していた施設の机など保管している場所などを探してみましょう。

誰か他人に預けている場合は、スマートフォンやパソコンのメールの履歴などが預けた人を割り出す手がかりになる場合もあります。

貸金庫の契約をしている場合は貸金庫の中に遺言がある場合もありますので、貸金庫を借りている場合はその中も確認しましょう。

 

 

なお公正証書遺言と、自筆証書遺言保管制度を使用した自筆証書遺言以外はその遺言書を発見しても封がしてあれば封を開けて中身を見てはいけません。
家庭裁判所に遺言書を提出し、検認の手続をしなければならないのです。

検認とは遺言書の形状や状態、日付や署名の有無などを確認し、遺言書の内容を明確にして、偽造・変造を防止する為の手続です。この検認をせずに遺言書を開封してしまった場合5万円以下の過料が科せられる場合がありますので注意をしましょう。

2、相続人の確認

被相続人の配偶者や子供、親、兄弟姉妹などが相続人となる資格があります

子供からすれば被相続人の子は「私たちだけ」だから確認もしなくてよいでしょう?。
その気持ちはよくわかりますが、相続の際には第三者の者にもそれがわかるように証明しないといけません

また、子供や配偶者の知らないところで他に子どもがいたり、養子がいたりする場合もあります

被相続人が離婚や再婚をしている場合前妻との間に子どもがいる場合もあります

ですから亡くなった方の一生でつくられた全ての戸籍を遡って順番に取得する必要があります
一生の戸籍を全て集めればその人に他に子どもがいないかどうか誰が見てもわかるようになります。

また兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の戸籍だけでは全ての相続人を確定できない為、被相続人の両親の戸籍までさかのぼって取得して、他に兄弟姉妹がいない事を証明しないといけません。

3、相続財産の調査

相続手続を行うのに相続財産に何があるか、金額換算でいくらあるかわからなければ遺産分割協議はできません。相続財産をしっかり把握しなければ本来なら相続放棄を選択していたはずなのにそれができなかった。という事も起こり得ます。

不動産の確認

不動産を持っている事はわかっていてもその不動産が共有かどうか。価格はどのくらいか知っている人は多くありません。
不動産を調べるには、「固定資産税納税通知書」や法務局で「登記事項証明書」を取得して調べる事が必要です。
また、自治体の役所にて「名寄帳」という書類を取り寄せる事でその自治体にある被相続人が所有している不動産を一括で確認することもできます。この名寄帳も一度取得してみましょう。

金融機関の口座の確認

通帳やカードがあれば口座の確認は容易ですが稀に通帳もカードも紛失していた口座の中に何千万円もはいっていたというケースもあります。
金融機関の場合は相続人からの請求であれば、取引内容の確認をすることができます。
どこの口座を使っていたかわからない様な場合は大手4行。地元の地銀や信用金庫とゆうちょ銀行あたりは残高証明書と合わせて請求してみましょう。

その他財産の調査

自宅の中を色々と探してみましょう。
自宅の金庫や引き出し、タンスの中、仏壇、貸金庫。
大事なものを保管していそうな場所を探します。

また、遺産分割の対象は債権や債務も対象ですので、借用書や請求書、権利証、売買契約書などもあれば確認したいところです。

4、相続放棄するかの検討

相続財産が確定したら相続放棄するかどうか検討しましょう。

相続財産が少なく、負債や債務の方が多い場合は相続放棄の手続をした方がよいかもしれません。

相続放棄を行うと「はじめから相続人にならなかったものとみなされます」ので相続財産を一切受け取る権利がなくなります。

相続放棄をするには期限が決められていますので注意しましょう。
相続があったことを知った時から3か月以内に「家庭裁判所」に相続放棄の申立てをしないといけません。他の相続人に対して「相続放棄するから」と言うだけではだめですので気をつけましょう。

5、相続財産の分け方を検討

相続放棄しないで相続することが決まったのであればその財産の分け方を考えましょう。
主な分け方として現物分割代償分割換価分割の3種類。またはそれらを相続財産の性質によって組み合わせて分割するのが一般的です。

現物分割

現物分割はその名の通り現物のまま分割する事です。相続財産の形状や性質を変えずに分割します
最も単純でわかりやすい方法といえます。

A不動産は甲に。B有価証券は乙に。現金は丙に。とその相続財産の性質を変えずに分割します。
また、不動産を分筆して一方は甲に、もう一方は乙に、と共有にするような分け方も現物分割の分け方といえます。

代償分割

代償分割とは分割を行った後、相続人の一方が他の相続人に対して代償金を払って相続人間の公平を保つ分割方法です。

例えばA不動産が相続財産の全てだとします。これを甲と乙で分割する際に現物分割であれば1/2ずつ分ければよいのですが、甲がA不動産をどうしても自分の名義にしたいと言っていた場合(甲がすでにA不動産に住んでいるような場合)、A不動産は甲がすべて相続する事にします。その代わりにA不動産の価値のうち自分の相続分に値する額(A不動産が1,000万円の価値であれば500万円)を現金で甲が乙に代償金として払う方法です。

ただし、これは代償金を支払うだけの資力が必要です。万が一調停などに進んだときは認めてもらうのに一定の要件が必要であります。

換価分割

換価分割とは現預金以外の分けずらい不動産や自動車、貴金属等を分けやすい現金に換価してその現金を相続人間で分ける方法です。

相続財産をそのままの形で使用する予定がないのであれば、換価して現金に換えるのは分けやすくなるので割とよく使われる方法です。

ただ不動産などは買い手がつかないでなかなか売却できず、相当な時間がたってしまう事もありますので売却の際は専門家に相談のうえ決断した方がいいと思います。

6、遺産分割協議を行う

ここまで確認したら遺産分割協議に入ります。

遺産分割協議は必ずしもドラマの様に相続人全員がひとつの部屋に集まって行わなければならないものではありません。このご時世。相続人がバラバラの土地に住んでいて一度に集まるのも難しい事もありますので、電話やテレビ電話、メールなどでやり取りをする方もいらっしゃいます。

基本的には法定相続分という民法で決められた割合がありますのでそれを参考にしながら分割案を作りますが、それとは異なる分割案でももちろんかまいません。

また、特別受益寄与分がないかどうか。その扱いをどうするかも後々のトラブルの防止の為に話し合っておきましょう。

不動産が一番分け方が難しい。とよく言われます。民法改正によって配偶者居住権という制度もできました。場合によってはこの配偶者居住権を使用した方がいい場合もありますので、迷ったら専門家に相談してもらえたらと思います。

7、遺産分割協議書の作成

おおよその分割方法や相続人間での分割割合が決まったらその内容を遺産分割協議書に記しておきます。

遺産分割協議書に決まった書式はありません。以下の事柄が書かれていれば手書きでもパソコンで作成しても効力に変わりはありません。鉛筆で書いても有効ですが偽造・変造が簡単にできてしまうのでもちろんおススメは致しません。

遺産分割協議書に書くべき事柄

1、表題(遺産分割協議書とタイトルを入れる)

2、被相続人について(氏名、生年月日、死亡した年月日、住所、本籍など)

3、相続人について(被相続人の妻○○。長男○○のように相続人を記載する)

4、どの遺産をだれが取得したか記載する

5、「遺産分割協議が成立した」や「以上の内容に相続人全員が異議がない」など内容に同意している事を記す

6、作成日

7、相続人全員の住所、氏名(自書)、および実印の押印

これらを記載しておくことで遺産分割協議書が出来上がります。

そしてこの遺産分割協議書を相続人の人数分作成し、その全てに自署、捺印をしてもらいます。

相続人は各自1通ずつ遺産分割協議書を保管しておきます。

まとめ

遺産分割協議書は以上の様な流れを通して作成していきます。
通常相続人の調査や財産の確定だけでも結構な時間がかかりますので作成期間は2~3か月はみておいたほうがよいでしょう。

相続税が発生する場合、相続税の申告期限は被相続人が亡くなった事を知ってから10か月以内ですからそれまでの間に遺産分割協議書も作成しなければいけません。
亡くなった直後2~3週間くらいは葬儀や火葬、諸々の後始末などに追われ、なかなかこういった手続に手がつけられない事を考えると思ったより時間はありません。

遺産分割協議書の作成に自信がない方は専門家の力も借りて作成する方がよいでしょう。