こんばんは。小平市のみしま行政書士事務所の三島友紀です。

早くも令和になって2回目のお正月が終わり、令和3年に突入しております。

デジタル庁も今年9月に創設が予定されており、時代はまさにデジタル元年ともいえる状況になっております。

そんな中個人も今や様々なデジタルのデータを所有する時代になっており、亡くなった時のそれらの扱いが問題となってきています。

この記事ではデジタル遺品とは何か。生前にできる対策と、亡くなってしまった故人のデジタル遺品をどうすればよいかについて解説いたします。

デジタル遺品とは何か

デジタル遺品とは、亡くなった故人のスマホやパソコンそのもの。またスマホやパソコン、外部記録メディア、クラウドなどに保存されたデータやID、パスワードなどを指します。

これらのデータは多くの個人情報が記録されているだけでなく、ネットバンキングなどの情報をはじめとしたお金にかかわるデータも非常に多く存在します。

また故人にとっては見られたくない「故人の尊厳」に関わるプライバシーに関わる情報も存在します。

近年、亡くなった後の死後事務においてもこのデジタル遺品の扱いをどうするかは問題になりやすいところでもあります。

主なデジタル遺品と呼ばれるもの

①パソコン・スマホ本体
②パソコン・スマホ内のデータ
③外付けHDD、USB、DVDなどの外部記録媒体
④ブログ、HP
⑤SNSのアカウント
⑥クラウド上に保管されたデータ
⑦Eメールのフォルダ内のデータ
⑧各種アプリやサイトのID、パスワードなどのアカウント情報
⑨サブスクリプションサービスのアカウント情報
⑩ネット銀行、ネット証券、スマホ決済のデータ

 

デジタル遺品にまつわるトラブル

デジタル遺品にまつわるトラブルでよく起こるケースは3つです。

1つはパスワードやIDがわからずに解約手続ができない
次に見られたくない情報が家族や第三者に見られてしまうおそれがある
最後に個人情報の流出の危険性がありトラブルに巻き込まれるようなケースです。

パスワードやIDがわからず解約手続ができない。

これはデジタル遺品に関して一番多い悩みかもしれません。
現代においては多くの人がネット銀行の口座を持っています。またネット銀行はなくともpaypayやr楽天payのようなスマホ決済サービスは利用されている人も多いでしょう。

当然ながらこれらのネット上の金融資産も相続の対象になります。

万が一ネット銀行やネット証券に多額の資産が残っていた場合、最悪の場合遺産分割協議のやり直しになる場合もあります。またそもそも解約手続が行えず資産を引き出す事ができません。

また、多くのアプリやネットのサービスも解約時にはパスワードを求めてきますので、遺族が個人情報を気にして様々なサービスの解約を行おうとしてもなかなか一筋縄ではいきません。
サブスクリプション型のサービスなどは解約を行うまで半永久的に毎月支払いが発生してしまう事もあります。

見られたくない情報が家族や第三者に見られてしまう

ネット上の情報というのは基本的にはその人本人しか見ないものですから、普段の生活とは違う一面が垣間見えることがあります。

例えば日記や写真、内緒にしていた趣味、ネットの閲覧履歴など

ちょっと他の人に見せたら恥ずかしいな…というものが誰しも多少なりともあると思います。

そのようなものが簡単に見つかってしまう事は、故人の尊厳にも関わる問題ともいえます。

個人情報の流出の危険性がある

近年もネット上での情報流出事件はたびたびニュースになっています。

毎回のログインが面倒でパソコン内部やクラウド上にIDやパスワードを保存している人も多いと思いますが、そのようなものが流出し、さらにはそのパスワードがネット銀行のパスワードと共通だったりした場合、勝手にネット銀行から現金が引き出されたり、ネット上に登録されているクレジットカードを使って買い物をされたりと被害に遭う可能性があります。

ネット上のデータをそのまま置きっぱなしにしているというのは、犯罪に巻き込まれる可能性が常にあるという事なのです。

生前にできるデジタル遺品の対策

このように様々な問題があるデジタル遺品ですが、もちろん対策はあります。生前にできるデジタル遺品の対策としては「メモ」「セキュリティ」がキーワードといえます。

メモの重要性

現代はスマホやパソコンを通じて様々なサービスに加入しています。
中にはサブスクリプション型のサービスの様に加入しているだけで毎月料金が発生するものもあります。

これらのサービスは故人がどんなサービスに加入していたかを相続人が全て把握するのは難しい事ですので、生前にどのようなサービスに加入していたか一覧表を作っておくことをお勧めします

そのうえでパスワードやIDを手書き。もしくはパソコン上でまとめたものを作成しておき金庫の中など安全な場所に保管しておくか、セキュリティを頑丈にかけてデータで保管しておく事です。

なお手書きでパスワードなどを管理する場合、パスワードとIDを別々のノートに記入して、それぞれ別の鍵のかかる場所に保管しておくとより安全性が高まります。

個人的には紙に書くやり方の方がHDDやパソコンのトラブルによってデータが無くなったりする心配がないので好みではあります。

また見られたくないデータの場合はそのファイル名などを記しておき、中身を確認せずに消してほしい旨を遺しておくのも有効です。

セキュリティの重要性

家族や第三者に見られたくないデータはまとめて一つのファイルに入れてロックをかけておくのがいいと思います。ロックをかけるにはフリーソフトやアプリで色々出ておりますので、調べてみていただけたらと思います。

ロックをかけたうえでスマホ本体ではなく外付けHDDやUSBメモリにデータを移しておきましょう。また暗号化ソフトなどもありますのでそちらを利用されてもいいでしょう。

Eメールの履歴やウェブの閲覧履歴などは根本的な解決法はあまりなく、その都度こまめに消しておくか別アカウントを作っていくしか方法がないと思われます。

相続人が「デジタル遺品」を扱う時はどうすればよいか?

故人がたいした対策もせず亡くなってしまった場合、相続人はデジタル遺品をどう扱えばよいのでしょうか。デジタル遺品の整理にも流れがあります。次の様な手順を踏んで処理していきます。

1、デジタル遺品を集める。
2、デジタル遺品の中身を確認する。
3、データをできる限り消去する。
4、ネット口座や電子マネーがあれば相続手続をする。
5、デジタル機器を初期化し回収してもらう。

1、デジタル遺品を集める。

まず故人が所有していたデジタル遺品とみられる媒体をすべて集めてみましょう。

パソコン、スマホ、デジカメ、外付けHDD、USBメモリ等々です。家の中や施設の中など隅々まで探してみましょう。その探している最中に万が一パスワードのメモやネット証券から送られてきた郵送物など(ネット証券を作る際など郵送物が届くことがある)があればそれも一緒に集めておきましょう。

2、デジタル遺品の中身を確認する。

集めた媒体の中身をチェックしてまとめていきます。

ただこの段階でIDやパスワードがわからず多くのデータにアクセスできない事もよくあるはずです。この場合はデジタル遺品の整理業者に連絡してそれ以上進めるのはやめておきましょう

また後述しますが不正アクセス禁止法という法律により家族とはいえ本人以外がデジタルデータにアクセスするのは禁止されています。家族が本人が亡くなった後デジタル遺品を整理する目的で行う場合はグレーゾーンですが、他の相続人にも了解を得てから行う等気をつけてください。

3、データを消去する。

ネット上や媒体の中に残っているデータを確認したらひとつずつ消去していきましょう。

なおデジタル遺品も相続の対象ですので、他の相続人の確認を得ずに勝手に消去するのはやめておきましょう。後々のトラブルになる可能性があります。

4、ネット銀行や電子マネーの相続を行う。

ネット銀行やネット証券の口座。電子マネーなども当然相続の対象です。

他の相続人と協議の上、どう手続きをするか決めておきましょう。相続手続は書面でのやりとりになることが多いです。まずはその口座や電子マネーのウェブサイトに行き相続手続について調べてみましょう。

5、デジタル機器を初期化して回収してもらおう

全てのデータが消去され、ネット口座の整理も終われば後はPCのデータそのものを初期化して専門店に回収してもらいましょう。

専門店ですべてやってくれるところもありますが、不用品回収業者やゴミとして廃棄する場合は必ずご自身で初期化を行うことが大切です。

不正アクセス禁止法とは

「不正アクセス禁止法」とはIDやパスワードの不正な使用やウイルスなどの攻撃によって、ネットワークに侵入することを禁止した法律です。違反すると3年以下の懲役や100万円以下の罰金が科せられる刑事罰です。

たとえばTwitterなどのSNSに本人になりすましてアクセスをしたり書き込んだりすると罰せられる可能性があります。

とはいってもデジタル遺品の整理の際は、整理を行えるのは実質的には家族しかいないので、家族がIDやパスワードを使ってSNSなどのアカウントにアクセスするのはグレーゾーンで黙認されるケースが多いです。場合によっては刑事罰も有りうるという意識を持って遺品整理以外の目的で使用閲覧しないようにしましょう。

まとめ

デジタル遺品は近年相続後のひとつの問題としてクローズアップされることが多い事柄です。

放置しておくと、月額サービスの利用料が死後も引き落とされ続けたり、情報流出の危険性がありますのでなるべく、故人の死後はデータを全て消去することが望ましいといえます。

生前の対策としては
①加入サービス、ID、パスワードなどを紙またはパソコンのワード機能などで書き留めておく
②見られたくないデータは一か所にまとめてロックをかけたり暗号化しておく
などの対策が効果的です。

また故人の死後、デジタル遺品をどうするかに関しては
上記の様な流れで進めていただけたらと思いますが、注意点が2つあり
①全ての相続人にデジタル遺品の収集やアクセス、消去などについて許可を取ること
②パスワードなどが判らなくて無理だと思ったら専門の業者に頼むこと
をあげさせていただきます。

現在80代、90代の方はそこまでデジタル遺品は多くないかもしれませんが、今50代、60代の方が80代になるころにはデジタル遺品はそれこそ膨大な数になっているはずです。

今のうちから対策をたてておき、いざという時に困らない様にしましょう。

行政書士が承ることのできる「死後事務委任契約」には「デジタル遺品の整理」も行うことができます。もしご不安な方はお気軽に下記のフォームからお問合せくださいませ。